自分の国をよりよくしていきたいという気概をもった人たちと働けるよろこび
掲載号:2020年秋冬Vol.15[東京版]

- 独立行政法人国際協力機構(JICA) / JICA職員
- 一橋大学 法学部卒業
- 瀬戸 典子 さん
- 勤務先ホームページ:https://www.jica.go.jp/index.html
- 途上国の方と文化体験を通して触れ合う
- 地元にJICAセンターがあり、小・中学生のときに途上国の方と文化体験を通して触れ合う機会が何度かありました。それまで自分の世界というのは、「日本」という限られた狭い範囲のもの。でもその経験を通して世界が広がり、公的機関の中でも特にJICAの職員に憧れをもつようになりました。
- お互いにないものを補い合う意識
- 進学したのは、一橋大学法学部。法律の勉強はもちろん、国際関係分野も学べる環境に惹かれて進学先を決めました。在学中、年に1~2回は海外へ行っていました。行ったのは、フィリピンやカンボジアなどの途上国。そこでボランティアやインターシップに参加しました。実際に行く前までもっていたのは、途上国の人たちは助ける対象というイメージ。でも、現地の人たちはとても明るくて逆に教えてもらうことも少なくありませんでした。助けるというよりも、お互いにないものを補い合うという意識が大切だと実感しました。4年次には、アメリカへ1年間留学し、日本人としてのアイデンティティを意識するようにもなりました。留学で身につけた語学力は仕事でも非常に役立っています。
- 私たちの思いと相手国政府との考えが一致する瞬間
- JICAの事業は多岐にわたっており、その基本は日本と途上国との架け橋となっておこなう「人を通じた国際協力」です。現在は、エジプトの教育を改善するプロジェクトに携わっています。日本独自の日直、学級会などの取り組みをエジプトの学校にも導入して浸透させたりしようと、エジプト・日本両政府を挙げて取り組んでいます。私の仕事は、プロジェクトがスムーズに進むように、エジプト政府の人と話したり、日本国内の大使館や日本政府などの関係者と調整をしたりすること。多くの方が関わっているので調整は大変ですが、皆さんの意見を聞き、エジプトにとって何がベストなのかを考えて相談しながら最大公約数を見つけ出すことを心がけています。この仕事は、プロジェクトの成果が1、2年後にすぐ出るものではありません。長いスパンで考えることが大切。プロジェクトを進める過程で、私たちの思いやりと相手政府との考えが一致する瞬間にやりがいを感じます。自分の国をよりよくしていきたいという気概をもった人たちと一緒に働けることにも誇りを感じます。
- 多様な価値観を受け入れる柔軟性が大切
- この仕事は、語学留学が大事。あとは、多様な価値観を受け入れる柔軟性をもっていることも大切です。いろいろな国、文化の人たちと協力してプロジェクトを進める仕事ですからね。高校時代は、勉強や部活、学校行事など、今しかできないことを目一杯楽しんでください。部活も学校行事も、チームの中で働くこと、チームで何かを作り上げることがあると思います。仕事も同じ。みんなで話し合ってつくっていくことは基本です。その経験は強みになると思いますよ。

JICAの事業の基本は、日本と途上国との架け橋となっておこなう「人を通じた国際交流」。



















