一人ひとりの生き方や生活に寄り添う仕事
掲載号:2019年秋冬Vol.2[京都版]

- 洛和会音羽リハビリテーション病院 / 作業療法士
- 佛教大学 保健医療技術学部作業療法学科 卒業
- 車戸 俊一郎 さん
- 勤務先ホームページ:http://www.rakuwa.or.jp/otowareha/
- 大学では1年次から実習が充実
- 作業療法士は、骨折した人や脳卒中になった人、発達障害・精神疾患の患者さんの社会復帰・能力改善のためのリハビリなどを行うのが主な仕事。高校2年生のころにこの仕事を知り、やりがいがありそうだなと思ったんです。作業療法士を目指して入学した佛教大学は実習に力を入れているのが特徴で、1年次から行われています。4年次は2カ月間の実習が2回。学生時代から現場での経験を重ねられることは大きなメリットです。
- 患者さんの目標達成に向けて
- 洛和会音羽リハビリテーション病院で、15人ほどの患者さんを担当しています。最初にしなければならないのは、“何ができるようになりたいか”という目標を決めること。その目標達成のために、どんなリハビリをすればいいかプランを組み立てていくんです。私の父の話ですが、以前、脳梗塞の後遺症で言葉をうまく話せなかったり、何が書かれているか理解できなくなる失語症になりました。読書が趣味だった父にとって文章を読むことはとても大切だったんです。それを知った担当の作業療法士は、本を読めるようになることを目標にしてくれました。たとえ同じ病気やけがであっても一人ひとり、目標は異なります。作業療法士は、患者さんの生き方や生活に寄り添う仕事なんです。
- 話をよく聞き、共感すること
- 患者さんは、けがや病気をして苦しい思いをされている方ばかり。接するときには、お話をよく聞き、その方の気持ちに共感することが大切です。ですが、共感はしても一緒に落ち込んではいけません。患者さんと接するときは常に明るく、笑顔でいることを心がけています。患者さんがご自宅に戻られたり、社会復帰をされる際に、「自分がまたこんなふうに動けるとは思ってもいなかった」と言われるとうれしいですね。
- 短所だと思うことが長所になる
- この仕事に向き・不向きはないと思います。もし、「けが人や病人を前にしたらつらくなりそう」「自分は気弱な性格だから」といった理由で向いていないと思う人がいるとしたら、そうではないと伝えたいです。そういった人の方が患者さんの気持ちを理解できるんじゃないでしょうか。どんな業種であれ、短所が長所になり、仕事に生かせる、そんなこともあるはずですよ。

腕の可動域を計測。 リハビリによってどの程度回復したかを確認します。

「一人につき、1日合計3時間のリハビリを行うことも。コミュニケーションの図り方も学生時代の実習が役立っています」



















